ここで差が付く資産価値!外壁材料にはどんな種類があるの?
最近は、工法も様式も様々なお家が増えましたよね。
大きな住宅街を通りかかると、お家の個性もそれぞれで、まるで住宅展示場にいるような感覚になります。
マイホームを考え始めた我が家にとっては、外観を考える上でとても参考になり面白いです。
特に興味深いのが外壁の種類やカラーによって、建物の印象がまるで変わって見えることです。
大規模に開発された住宅街ですと築年数は大体同じはずですが、10年も過ぎる頃になると、美しく保たれているお家と何となく古びて見えてくるお家との差が出てくる気がします。
その差は、外壁の素材とカラーが大きく関わっているようです。
そこで今回は、外壁に使われる材料についてお伝えします。
日本の伝統的な家の外壁
出典:Pinterest 北村設計事務所 「桜並木の家」 (左) Pinterest より(右)
現在は様々なカラーの個性溢れる外観の住宅が多いですが、それは産業が発展した今でこそ見られる光景です。
木造建築が主流な日本の伝統的な外壁は「土壁」や「板壁」でした。
土壁は、小舞下地にわら等を混ぜた土を塗り重ねて壁にするもので、土蔵で知られるように断熱性、調湿性に優れていました。
板壁は、樹木が豊富にあった日本では一般的で、板の貼り方も様々なバリエーションがありました。木材は調湿性に優れ、結露もしにくいため日本の風土にも似合う素材です。
土壁はあまり見られなくなりましたが、古くからの街並が残る場所では板壁造りの家が今でも見られます。
私の夫の故郷では、車が1台通るのもやっとの道幅に、板壁造りで瓦屋根の風情ある街並が今でも残っており、そこを歩くと建物の雰囲気からか落ち着きを感じます。
「地産地消」という言葉がありますが、昔はその地で取れる資産を活かした住まいや暮らしが、風土に根ざした美しい風景を作っていたのでしょう。
しかし、工業化、交通、物流が発展し、断熱、遮熱、耐震、耐用年数と住まいに求める水準が高くなった現代では、このような外壁はなかなか取り入れられなくなりました。
現代の戸建住宅の外壁
現代の戸建住宅に多く用いられる外壁は、木造の場合は主に「サイディング仕上げ」や「モルタル仕上げ」です。また、高級感のある「タイル仕上げ」や、最近見かけることも多くなった「RC」などがあります。
それぞれの特徴と、メリット、デメリットをまとめると次のようになります。
《サイディング仕上げ》
出典:HERBAR HOUSE HPより
ここ10年くらいの新築住宅で主流となっている外装で、サイディングボードを外壁に貼る仕上げです。
サイディングボードとは工場で製造した模様がついたボードのことです。
サイディングボードを現場へ運び、釘やビスなどで下地に取り付け、貼り合わせます。
【メリット】
・ 職人の腕に左右されず均一な仕上がりが期待できる
・ 施工性が良く、他に比べ工期がかからない
・ コストが低い
・ デザインが豊富
・ 耐火性がある
・ 品質がJIS規格により定められ安定している
【デメリット】
・ メンテナンスサイクルが短い(10年くらいからメンテナンスが必要)
・ シーリング材(継ぎ目材)の寿命も10年程度と短いため注意が必要
《モルタル仕上げ》
出典:Pinterest より
最近は減っているようですが、20年~30年ほど前までに建てられた家には多い工法です。
外壁に水、砂、セメントなどを混ぜたモルタルをコテで塗り固めた仕上げです。
上に塗装するのが一般的で、塗装や仕上げの模様によって耐久性や耐水性にも差が出ます。
【メリット】
・ コテ仕上げのため様々なテクスチャーを表現でき、個性的でデザイン性の高い仕上がりが可能
・ 耐火性がある
・ 下地に配慮し、左官仕上げの上に耐久性の高い塗装を施すことで傷みを防ぐ効果が期待できる
【デメリット】
・ 左官職人さんの技量により品質が左右される
・ 左官工事と塗装工事で手間がかかる
・ サイディングよりコストが高い
・ 経年劣化するとひび割れや亀裂などが発生する
《タイル仕上げ》
見た目に高級感があり、高コストながら人気がある仕上げです。
日本でのタイル仕上げの発祥をたどると、明治時代に海外から入ってきた西洋建築(レンガ造り)の高級な仕上げとして施された化粧レンガが薄くなったものと言われています。
サイディングでもかなり近い製品はありますが、本物の自然な美しさにはかなわないかもしれません。
タイルは、土や砕いた石などを高温で焼き固めたものでとても頑丈です。
ただし、タイルそのものが劣化に強くても、接着面や目地部分の劣化は避けられません。それにより、タイルの剥離やシーリング部分からの浸水などが考えられます。
【メリット】
・ 重厚で高級感がある
・ 耐久性、耐候性がよく、傷や汚れにも強い
・ メンテナンスサイクルが長い
【デメリット】
・ コストが高い(サイディングの2倍以上と言われる)
・ 貼り方の精度が求められ、職人の技術力により仕上げの差が出やすい
・ 地震などで目地割れや剥離が生じやすい
・ 熱伝導率と熱容量が高いため、夏場は暑く冬場は寒くなりやすい
・ タイル自体の耐久性は良いが、目地に定期的なメンテナンスが必要なため、メンテナンスフリーとは言えない
まとめ
いかがでしたでしょうか。
皆さんは、どんな外壁がお好みでしょうか。
いざマイホームを建てるとなると、間取りや内装のデザイン、設備などに関心が向きがちですよね。
そして外装に関しては、あまり時間をかけることなく比較的簡単に素材や色調などを決めてしまうケースが多い印象もあります。
しかし、メンテナンスや見た目の印象においても、どの素材や色を選ぶかによって、10年後20年後にかなりの差が出てくると思います。
大切な資産を守るためにも、正しい知識を持って納得できるものを選びたいですね!
次回は、汚れが目立ちにくい外壁の色や、外壁の汚れの原因などについてお伝え致します。