実は小さな家の方が暮らしやすい?新しい住まいの考え方! vol 2
前回は、コンパクトな住まいでの暮らしの方が実は心地いいのでは?という視点で
・小さな家の特徴
・制限のある中での採光や通風への配慮
・空間を有効に使うための工夫や技術
などについてお伝えしました。
今回は、そんな小さな家のメリット・デメリットについてお伝えします。
小さな家のメリット
1.コンパクトで動きやすい
planにもよりますが、小さな家では必然的に廊下が少なくお部屋のサイズもコンパクトになるため、導線も短く動きやすくなります。
建坪が狭い場合、垂直方向に間取りが構成されるケースが多くなります。
フロアごとにお部屋が配されると、階段を上がるとすぐに居室空間が広がりますので、廊下を歩いたりドアを開閉するなどの動作は入りません。
また、LDKは様々な用途で使われる空間ですが、コンパクトな広さであれば少ない動きで済み、何かと便利です。
2. 家族の気配が感じられ、家族の距離が近くなる
小さな住まいでは、吹き抜け、スキップフロア、ロフト空間など、採光・通風に配慮し、狭いスペースを広々見せるための工夫をふんだんに盛り込みます。
その結果、しきりが少なくなり空間につながりが生まれるため、家族が違うお部屋に居ても、音や明かりなどからお互いの気配を感じることができます。
また、垂直方向に間取りを構成するとLDKを通って子供部屋にアクセスするplanが作りやすく、子供の様子も見守ることができ安心です。
さらに、ダイニングを書斎や子供の勉強スペースにすると、自然と家族の触れ合う時間が増えて距離が近くなります。
3.家中の温度管理がしやすく健康的に暮らせる
廊下で仕切られた間取りの住宅ですと、閉め切って各室で冷暖房を入れますよね。
そうすると健康面で心配になるのが、冬場における急激な温度差で起こるヒートショックなどです。
小さな家ですと仕切りも少なくコンパクトなので、断熱対策をしっかりととった上で一体的に空調管理を行えば、温度差が少なく快適で健康的な暮らしをすることができます。
4.メンテナンス費用を抑えられる
新築から10年以上経つと、外壁や屋根など外回りのメンテナンス工事が必要になります。
小さな家ですと、施工面積が少ないですし、形状もシンプルにすればその分費用も少なくてすみます。
5.建築家の意見を聞きながら唯一無二のマイホームを造れる
ハウスメーカーや工務店が扱う住宅はある程度規格が決まっているため、間取りやスタイルが大体決まっています。
その点、建築家と造る小さな家は、制限が多い中でも立地の特性を吟味して丁寧に家を造っていくことになるため、他にはない自分だけのマイホームをかなえられます。
小さな家のデメリット
1.収納スペースが少ない
広さに制限のある家ですっきり快適に暮らす ためには、住む人の物の管理能力が鍵になります。
家具はもちろん、小物などにも吟味が必要です。
特に、小さなお子さんがいるお家ではどんどんものが増えていきますし大変ですよね…。
しかし、厳選した好きな物に囲まれた生活は心地良く、無駄な物が目につかないすっきりした暮らしは、精神衛生上にも良さそうです。
2・空間の使い方に工夫がいる
小さな家では、ダイニングを書斎や子供の学習のスペースとして使うなど、食事以外の時間に他の用途で使うようにすると限られたスペースを有効に使えます。
しかし、食事の時間になるとその作業を一旦終了させなければなりません。
物をどかしてスペースを開けるという手間もそうですが、子供の学習などの場合は集中力を欠かせてしまうことにつながるかもしれません。
3.お庭など自然に触れるスペースをとりにくい
出典:SUVACO https://suvaco.jp/project/
マンションではなく戸建てを選ぶ理由に「お庭を持ちたいから」ということもあるでしょう。
小さなお子様がいるお家では、芝生を三輪車で走らせたい、お花を育てたり暮らしの中に自然に触れる環境を作ってあげたいと思う方も多いと思います。
しかし、狭い土地では居室スペースの確保が優先となるため、お庭を諦めなければならないかもしれません。
4.家事導線が分断されてしまう
垂直に間取りを構成する小さな家では、階段での行き来が多くなり、毎日の家事が大変になる場合があります。
例えば、お庭がなく1F が浴室・洗面・トイレなどの水回り+寝室、2Fが LDK+バルコニー、3Fが子供部屋のような間取りですと、毎日のお洗濯物やお布団を干したいときは階段での持ち運びがあり、大変になりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
広い家でゆったりと暮らすことにも憧れはありますが、小さな家でも工夫次第で快適に暮らすことができます。
そして、自分たちの暮らしのサイズに合った小さな家だからこそ得られる心地よさがあるような気がします。
そのコンパクトさは、家族の幸せな時間を生み出すきっかけにもなるのです。
これからの時代、本当に快適で心地いい住まいを造るためには、ステレオタイプに惑わされて流されるのではなく、住み手自身が自分のライフスタイルや身体感覚を見つめ、それに委ねるのが一番なのかもしれません。